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改正・空家等対策特別措置法のポイント|管理不全空家とは

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1.空き家問題の深刻化と法改正の背景

近年、地域における人口減少や既存住宅の老朽化などにより、居住その他の使用がされていない空家等が増加し、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることが問題となっています。

平成30年の住宅・土地統計調査によれば、「使用目的のない空き家」(二次的住宅、賃貸用・売却用を除く)の数は349万戸に上り、過去20年間で約1.9倍に増加しており、今後も更に増加が見込まれています。空き家は、解体費用をかけたくない、家財・荷物を片付けられない、将来使用するかもしれないなどの理由から放置されがちです。

これまでの空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)は、緊急性の高い「特定空家等」への対応が中心でした。しかし、特定空家等になってからの対応には限界があるため、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空家等の活用や適切な管理を確保することが重要となっていました。

この背景を受け、空家等対策を「活用の拡大」「管理の確保」「特定空家等の除却等」の三本の柱で総合的に強化することを目的とした「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和5年法律第50号)が、令和5年12月13日に施行されました。

2.新設された「管理不全空家」とは?

今回の改正の大きなポイントは、「管理不全空家等」という新たな段階の空家等が定義され、特定空家等になる前の段階から対策を講じられるようになった点です。

管理不全空家等とは、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば「特定空家等」に該当することとなるおそれのある状態にあると認められる空家等です。

これに対し、特定空家等とは、倒壊の危険性、衛生上有害な状態、著しく景観を損なっている状態など、周囲に著しい悪影響を及ぼす空家を指します。

管理不全空家等であるか否かの判断においては、空家等の物的状態が、保安上危険、衛生上有害、景観悪化、その他周辺の生活環境の保全への影響などの各状態になり得るか否かについて、総合的に判断されます。そのまま放置した場合の悪影響が社会通念上予見可能な状態がこれに該当し、実現性に乏しい可能性まで含む概念ではないことに留意が必要です。

3.管理不全空家に対する措置の具体的なポイント

市町村長は、管理不全空家等と認められる空家等の所有者等に対し、特定空家等への悪化を防止するために必要な措置を講じることができます。

(1)指導・勧告

市町村長は、管理不全空家等の所有者等に対し、国が告示する「空家の管理指針」に即して、特定空家等に該当することを防止するために必要な措置をとるよう指導することができます。この管理指針には、定期的な換気、通水、庭木伐採等が想定されています。

指導を行っていなければ勧告ができないのは、まずは指導を行うことにより、所有者等による自発的な状態の改善を促すためです。

指導をしてもなお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きいと認められる場合、市町村長は勧告を行うことができます。勧告に係る措置の内容は、指導に係る措置と異なり、具体的なものでなければならないことにも留意が必要であり、例えば「東側部分の屋根ふき材の補修を行うこと」等の具体の措置内容を示すべきです。

管理不全空家等に対する措置は、状態の改善のためであり、勧告に係る措置として除却が基本的に想定されていないことには留意が必要です。

(2)固定資産税の住宅用地特例の解除

管理不全空家等が勧告を受けると、その敷地に係る固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)が解除されます

この特例は、管理不全空家等及び特定空家等が、住民の日常生活に必要と認められる住宅用地の税負担を軽減するという住宅用地特例の本来の趣旨から外れると考えられるため、地方税法において解除の対象とされました。この措置により、所有者に対し、適切な管理や活用を促すことが期待されます。

勧告が撤回された場合、当該敷地は再び住宅用地特例の適用対象となることから、市町村においては、可能な限り速やかにその旨を税務部局に情報提供することが必要です。

4.空家等対策を総合的に強化するその他の改正ポイント

改正法では、「管理の確保」だけでなく「活用の拡大」や「特定空家等の除却等」についても対策が強化されています。

改正の柱主な改正内容
活用の拡大
  • 空家等活用促進区域の創設:区域と活用指針を定め、用途変更・建替え等を促進
  • 安全確保を前提に接道規制・用途規制の合理化など許認可の円滑化
管理の確保
  • 所有者把握の円滑化:電力・ガス等の事業者に情報提供を請求可(空家等に工作物を設置する者)
特定空家等の除却等
  • 緊急代執行制度:災害等で緊急の危険がある場合、命令等の事前手続を経るいとまがないときに迅速対処
  • 代執行費用の確定判決なしの徴収が可能に
全般的サポート
  • 空家等管理活用支援法人制度:市区町村が指定し、普及啓発・相談・管理受託・所有者探索等を支援
所有者等の責務
  • 従来の管理努力義務に加え、施策への協力の努力義務を追加

今回の改正は、空き家が深刻な問題となる前の段階から対策を強化し、活用と管理の両面で地域の振興に寄与することを目的としています。

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