横浜市で相続した空き家をどうする?|売る・貸す・そのまま保有、それぞれのメリットと考え方
「親が亡くなって実家を相続したけれど、しばらく空き家のままになっている」
「兄弟で意見が合わず、結局何も決まらないまま数年たってしまった」
横浜市には、そんな“相続空き家”を抱えて迷っているオーナーさんがたくさんいます。
しかも、
- 相続人が複数いて話し合いがまとまらない
- 固定資産税くらいなら払えてしまうので、急いで決める理由を感じない
といった事情から、「とりあえず放置」が続きやすいのも現実です。
一方で、空き家の放置は、固定資産税の優遇解除や、老朽化リスクなど、見えにくい負担やリスクを抱えています。
この記事では、「売る」「貸す」「そのまま保有する」という3つの選択肢を、どれか一つを正解と決めつけるのではなく、「それぞれのメリット・注意点を理解したうえで、家族ごとに納得のいく選択をしてほしい」という視点で整理していきます。
目次
- 横浜市で相続空き家が増えている背景と「放置」のリスク
- 選択肢①:そのまま保有するという選択
- 選択肢②:売却するという選択
- 選択肢③:貸すという選択(賃貸・地域貢献型)
- 相続人が複数いて意見が分かれるときの整理の仕方
- 「どれが正解?」ではなく「自分たちの納得解」を探す
- 横浜市の空き家について、YOROZUYAに相談できること
1. 横浜市で相続空き家が増えている背景と「放置」のリスク

横浜市では、人口減少・高齢化に伴い空き家が増加傾向にあります。
2018年の「住宅・土地統計調査」では、市内の空き家・空き室は約17万8,300戸と報告されています。
「とりあえず放置」が抱える主なリスク
相続で取得した空き家を「とりあえず、そのままにしておこう」とした場合、次のようなリスクが考えられます。
- 固定資産税が最大6倍になる可能性
管理が不十分な空き家は「管理不全空家等」に指定され、さらに悪化すると「特定空家等」と判断されることがあります。この場合、土地にかかる「住宅用地特例」が外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。 - 倒壊・景観悪化・犯罪誘発などへの責任リスク
老朽化した空き家の一部が落下して他人に被害を与えた場合、所有者が賠償責任を負うことがあり得ます。 - 資産価値の目減り・売却タイミングの喪失
メンテナンスされていない家は、年数が経つほど売却価格が下がりやすくなります。「相続空き家の3,000万円特別控除」など、売却に有利な税制度にも期限があるため、放置している間に利用できる時期を逃してしまうこともあります。
とはいえ、「リスクがあるから今すぐ売るべき」という話ではありません。
大事なのは、選択肢ごとのメリットと注意点を知ったうえで、“意図して”選ぶことです。
2. 選択肢①:そのまま保有するという選択

2-1. 「保有を続ける」主なメリット
- 将来の利用可能性を残せる
将来的に「子どもが住むかもしれない」「セカンドハウスにするかもしれない」など、
具体的な計画はまだなくても、選択肢を残しておけるのは保有の大きな利点です。 - 思い出の場所を手放さなくて済む
実家には、写真には写らない思い出がたくさん詰まっています。「どうしても今は売りたくない」という感情を尊重できるのも、保有の良さです。 - 親族間の対立を先送りできる(良くも悪くも)
売却・賃貸は「誰がどれくらいお金を受け取るのか」という話になり、
かえって対立が深まる場合もあります。「まずは冷却期間として、何年かは保有を続ける」という判断もあります。
2-2. 注意したいポイント・デメリット
- 固定資産税などのコストは確実にかかる
お金に余裕があるオーナーほど、「このくらいの固定資産税なら、払ってしまえばいい」と考えがちです。ただし、10年・20年単位で見るとかなりの金額になることもあります。 - 管理の手間や責任が続く
草木の剪定、雨漏り、老朽化チェック、ご近所への配慮など、実家から離れて暮らしている場合は、誰が管理するのかが課題になります。 - “なんとなく保有”と“意図して保有”は違う
「今はこういう理由で保有を続ける」と家族で言語化して合意するのか、「気づいたら10年たっていた」というのかでは、将来の選択肢や関係性も変わってきます。
3. 選択肢②:売却するという選択

3-1. 売却する主なメリット
- 将来のリスクから早めに解放される
空き家の老朽化リスクや、固定資産税の負担から比較的早く離れられます。 - 現金化して、相続人それぞれの人生に使える
教育費や老後資金、住宅ローン返済など、「自分の人生のために使えるお金」として分配できます。 - 「相続空き家の3,000万円特別控除」などの制度が使える場合も
一定の条件を満たした相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円(条件により2,000万円)の特別控除を受けられる可能性があります。適用条件や期限が細かく定められているため、実際に検討する際は税務署や税理士など専門家にご相談ください。
3-2. 売却のデメリット・注意点
- 「もう戻せない」選択であること
一度売ってしまうと、その家には二度と住めません。「やっぱり残しておけばよかった」という後悔を防ぐためにも、納得感を持ったうえで決めることが大切です。 - 相続人どうしの感情の整理が必要
「本当は残したい人」と「売りたい人」がいるケースでは、お金の話だけでなく、感情の話をじっくりする必要があります。 - 売却までの準備・手続き
不動産会社選び、価格査定、内覧対応、測量や登記の確認など、一定の手間と時間がかかります。
4. 選択肢③:貸すという選択(賃貸・地域貢献型)

「売るつもりはないけれど、ずっと空き家のままにしておくのももったいない」
そんな方が検討しやすいのが、「貸す」という選択肢です。
4-1. 一般的な賃貸として貸すメリット
- 家賃収入が得られる
固定資産税や維持費を家賃でカバーできる可能性があります。 - 建物が「人に使われる」ことで劣化がゆるやかに
誰も住んでいない家は、住んでいる家よりも傷みやすいと言われます。きちんと使われながら保守されることで、建物の寿命を延ばせる場合もあります。 - 将来、自分や家族が住む選択肢も残る
売却と違い、「いつか自分が住む」「子どもが帰ってくる」可能性も、長期的には残しておくことができます。
4-2. 「貸す」ときに気をつけたいポイント
- リフォーム・設備の整備が必要なことが多い
築年数の古い家は、耐震・水回り・雨漏り・電気設備など、ある程度の改修が必要になることが多く、初期費用がかかります。 - 空室リスク・賃料変動リスク
借り手が見つからない空白期間や、地域の賃料相場の下落など、収支が計画どおりにならない可能性もあります。 - 管理・トラブル対応の負担
賃貸管理会社に委託する方法もありますが、いずれにしても「オーナーとしての責任」が続く点は意識が必要です。
4-3. 横浜市ならではの「貸す」×「地域貢献」の形
横浜市には、
- 空き家の改修に使える補助金(地域貢献型・簡易改修型)
- セーフティネット住宅として登録し、家賃補助を受けながら貸す制度
など、「貸す」と「地域の課題解決」を両立しやすくする仕組みも用意されています。
YOROZUYAでも、こうした制度を活用しながら、
- 空き家をリノベーションしてシングルマザー・単身女性向けのシェアハウスにする
- セーフティネット専用住宅として登録し、「通常6万円の家賃を2万円で提供する」といった形で入居者の負担を下げる
といった取り組みを行っています。
「せっかくなら、家族の資産を活かしながら、誰かの役にも立てたい」
そんな価値観をお持ちのオーナーさんには、
“貸す+地域貢献”という方向性も、一つの選択肢になります。
5. 相続人が複数いて意見が分かれるときの整理の仕方

横浜市の相続空き家オーナーさんから、よく聞くお悩みがこちらです。
- 兄弟で「売りたい/残したい/貸したい」がバラバラ
- 誰も生活に困っていないので、「固定資産税を払える人が、なんとなく払い続けている」
- 話し合いをすると空気が悪くなるので、結局何も決まらない
こうした状況で大事なのは、いきなり結論を出そうとしないことです。
5-1. まずは「本音」と「条件」を分けて話す
- それぞれの本音を書き出す
- 「本当は残したい。実家がなくなるのが寂しい」
- 「自分の子どもが将来使うかもしれないと思っている」
- 「維持費を払うくらいなら、早く現金化してしまいたい」
- そのうえで、「こういう条件なら譲歩できる」を考える
例)- 「◯年後に改めて見直す前提で、今は保有を続けるなら納得できる」
- 「貸して家賃収入を得ながら、◯割は修繕費、残りを兄弟で分けるなら賛成」
- 「売却するなら、◯◯にだけは相談してほしい」
「売る/貸す/保有する」という選択肢の前に、
“それぞれの大事にしたい価値観”を確認することが、対立をほどく第一歩になります。
5-2. 第三者(専門家)を交えた「情報整理」も一つの方法
- 不動産会社、税理士、司法書士、空き家活用の専門家など、利害関係の薄い第三者が入ると、感情的な衝突を避けやすくなります。
- 「うちの場合、売る・貸す・保有のどれが現実的か」を数字ベースで整理してから、家族会議を開く流れもおすすめです。
6. 「どれが正解?」ではなく「自分たちの納得解」を探す

大切なのは、「売る人が正しくて、貸す人・保有する人が間違っている」ということでは、まったくないという点です。
- 経済的な状況
- 家族の関係性
- 実家への思い入れ
- 子ども世代のライフプラン
これらはご家族ごとに全く違うので、同じ「横浜市の相続空き家」でも、最適な答えは一つではありません。
このコラムが、
- 「とりあえず放置」ではなく、「意図して選ぶ」
- 「誰かだけが我慢する」のではなく、「皆が納得できる落としどころを探す」
ためのヒントになればうれしく思います。
7. 横浜市の空き家について、YOROZUYAに相談できること
株式会社YOROZUYAは、横浜市内の空き家をリノベーションし、シングルマザーや単身女性が安心して暮らせるシェアハウスを運営している会社です。

横浜市の補助制度やセーフティネット住宅の仕組みを活用しながら、
- 「売るほどではないけれど、空き家をどうしていいか分からない」
- 「兄弟で残す方向で合意しているが、固定資産税だけ払う状態からは卒業したい」
- 「貸すなら、地域の役に立つ形にできたらうれしい」
といったオーナーさんからのご相談をお受けしています。
「とにかく貸しましょう」と急かすことが目的ではなく、
売る・貸す・保有、それぞれの選択肢の整理を一緒に行うパートナーでありたいと考えています。
横浜市で相続された空き家について、「まずは状況整理から手伝ってほしい」という方は、
どうぞお気軽にYOROZUYAまでご相談ください。