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【活動報告】「みんな安心住まい」事業を通して見えてきた、シングルマザー・単身女性向けシェアハウス運営の課題と工夫

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今年度、弊社では「みんな安心住まい」事業の助成を活用し、既存のシェアハウス運営の改善に加え、新たなシェアハウスの開設準備、およびDV被害者母子や生活困窮単身女性への支援体制の強化に取り組んでまいりました。

シェアハウス、特に配慮が必要な方々を受け入れる住宅の運営には、一般的な賃貸管理とは異なる細やかな対応が求められます。 本記事では、今年度の検討・試行事業を通じて私たちが直面した具体的な「7つの課題」と、それに対して実践し効果を上げた「対処法」を共有いたします。これから居住支援に取り組まれる団体様や物件オーナー様の一助となれば幸いです。

シェアハウス運営 実践ノウハウ報告

私たちが運営するシェアハウス(中古戸建活用型)において、実際に発生した課題とその解決策をまとめました。

1. 消耗品の補充管理(離れた場所からどう管理するか?)

【課題】 トイレットペーパーや洗剤など共有備品の補充について、これまでは事務所が隣接していたため「会った時に聞く」スタイルで対応できていました。しかし、物件が事務所から離れると、タイムリーな補充が難しくなるという課題がありました。

【対処法:グループLINEの活用】 入居者様と運営者で「グループLINE」を作成しました。必要なものはその都度LINEで知らせてもらう運用にしたところ、運営者に即座に伝わるだけでなく、「いつ、誰が、何を補充したか」が入居者全員に共有され、在庫管理が非常にスムーズになりました。

2. 収納スペースのトラブル防止

【課題】 戸建てを活用する場合、既存の収納スペースと世帯数が合わず、場所の取り合いや不公平感が生じ、トラブルの原因となりがちです。

【対処法:事前の設備投資と定期巡回】 新しいシェアハウスでは、冷蔵庫、棚、ごみ箱などを最初から「世帯分」設置し、使用場所を明確に区分けしました。ただし、設備を用意するだけでは不十分であることも分かりました。運営者が定期的に訪問し、ルール通りに使われているかを確認し、守られていない場合はこまめに注意を促すという「ハード(設備)とソフト(巡回)」の両輪が必要です。

3. 入浴時間のバッティング問題

【課題】 特に母子世帯の場合、入浴時間が長くなる傾向があり、浴室が一つしかない戸建てでは時間が重なりがちです。ホワイトボードへの記入方式では運用がうまくいきませんでした。

【対処法:リアルタイム報告】 こちらも「グループLINE」を活用し、毎日その都度「これから入ります」「希望は何時です」と知らせ合う運用を試行しました。最初は手間に感じるかと思われましたが、スマホに慣れている世代ということもあり、意外にもスムーズに運用定着しました。

4. 入居者間トラブルへの対応姿勢

【課題】 共同生活において「迷惑行為」の訴えがあった際、運営者が同居していないため事実確認が難しく、対応に苦慮する場面がありました。

【対処法:解決志向のヒアリング】 客観的なマニュアルの必要性を感じ、以下の手順を確立しました。

  1. まずはLINEや電話で事情を聴取し、重い案件は直接面談する。
  2. 先入観を持たず、しかし心が傷ついている場合は「寄り添い」を最優先する。
  3. 一人の証言のみを鵜呑みにせず、複数世帯から話を聞く。
  4. 最も重要なのは「犯人探し(真実の解明)」よりも、「どうすれば解決するか(伝え方の工夫など)」に重きを置くこと。

5. フードパントリー(食糧支援)の拡大

【課題】 全世帯に対し実施している食糧支援ですが、世帯数が3世帯から最大10世帯規模に増えた際、仕分け作業等の負担が懸念されました。

【対処法:体制の検証】 実際に倍以上の世帯数でシミュレーションと試行を行いました。現状の人員でも工夫次第で対応可能であることが確認できましたが、今後さらなる拡大が見込まれる場合は、ボランティア連携なども視野に入れる必要があります。

6. 生活保護制度と定期借家契約の壁

【課題】 シェアハウスで一般的な「定期借家契約」は、自治体によっては生活保護の「住宅扶助」の対象外となるケースがあります。今回、入居後に生活保護受給が必要となった女性がおり、居住継続の方法が課題となりました。

【対処法:制度の柔軟な活用】 自治体窓口に同行し粘り強く協議を行いました。結果、住宅扶助(家賃補助)という形ではなく、自治体の「家賃減額補助」を活用して家賃を下げ、生活費(生活扶助)の中から家賃を支払うというスキームを構築し、住み慣れた場所での居住継続を実現しました。

7. DV被害者の安全確保

【課題】 DV被害を受けている母子の受け入れにあたり、警察や行政とどう連携すれば安全を守れるかが課題でした。

【対処法:警察・行政との連携フロー確立】 実際に以下の手順を支援しました。

  1. 近隣の警察署へ出向き、以前の居住地の警察署(相談実績あり)と連携してもらう。
  2. その足で区役所の戸籍課へ行き、警察での相談実績を基に「住民票・戸籍の閲覧制限」をかける。 この一連の手続きに運営者が同行・支援することで、入居者様の精神的な安心と物理的な安全確保に大きく寄与できることが分かりました。

今後に向けて

今回の事業を通じて、シェアハウス運営は単なる「場所貸し」ではなく、入居者様とのコミュニケーションや関係各所との連携といった「運営力」が問われることを再認識いたしました。 今年度の成果であるこれらのノウハウを活かし、今後もDV被害者の方や生活困窮の方々が安心して暮らせる「住まい」と「居場所」を提供し続けてまいります。

本事業に関するお問い合わせや、居住支援に関するご相談は、弊社お問い合わせフォームよりお待ちしております。

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